Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2016/12/23

西加奈子さんのアディーチェへのインタビューが「SPUR」2017年2月号に

 これは読ませます。チママンダ・ンゴズィ・アディーチェに作家の西加奈子さんが電話でインタビューをして、書きおこしたすてきな文章です。

 今日発売のシュプール」2017年2月号(集英社)です。

 特集「THE FACES of 2017」に登場する7人のアーチストの一人がチママンダです。トップがグレース・ウェールズ・ボナーというイギリスとジャマイカにルーツをもつファッション・クリエーター。ほかにモデル、デザイナー、女優/ミュージシャン、クリエーターなど才能豊かな若いアーチストがならび、チママンダはその最後を飾っています。

「最初の小枝は細く、しなやかで、緑色をしている。そうした小枝は完全な円になるほど曲がるが、折れはしない」というトニ・モリスン『青い目がほしい』からの引用で始まる西さんの文章からは、アディーチェの作家としての特質やその魅力がたっぷりと伝わってきます。それが見開きページにぎっしり。わくわくしながら読みました。少しだけ引用します。


 ──彼女は、ステレオタイプだった私の「アフリカ」のイメージを鮮やかに覆し(中略)私を未知の世界へ連れて行ってくれた。新しい世界へ。
 でも、彼女のやり方は「正しい価値観」を目の前に突きつける、というような乱暴なものではなかった。もちろんその「声」は圧倒的だったけれど、(中略)ときに静かに、何より美しく私に語りかけてくれた。「あなたの知っている世界だけがすべてじゃないのよ」と。……私が彼女の言葉を追っていて強く感じたのは、しなやかさだ。


 アディーチェの魅力を縦横に語る西加奈子さんの文章は、何度読んでも心にしみます。
 左上にならぶ3冊の既刊書の書影の下には、この秋のクリスチャン・ディオールのショーで、アディーチェの We Should All Be Feminists 「男も女もみんなフェミニストでなきゃ」と描かれた白いT-シャツを着たモデルさんの写真も。おまけに「モデルは細すぎだけど(笑)、マリアの考え方に共感するわ」というチママンダらしいコメントも添えられています。(マリアとはディオール史上初の女性アーティスティック・ディレクターになったマリア・グラツィア・キウリのことです。)
 このWe Should All Be Feminists 「男も女もみんなフェミニストでなきゃ」は来年春に、日本語訳の本としてお届けしますので、ご期待ください!

 アディーチェの長編小説『アメリカーナ』の帯も書いてくれた西加奈子さん... Muchas gracias, Nishi-san!!