Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2015/08/06

パウル・クレーと夏日記(7)

今日も晴れ。気温は高め。広島に70年前、原子爆弾が落とされた日だ。

 それより10年ほど前に描かれたクレーのこの絵、「中心で/at the core--1935」というタイトルがついている。そうか、たしかに中心で赤い炎が燃えている。それとも赤い血がしたたり落ちたのか。いやいや、薄切りにした生ハムを、少しずらして重ねたようにも見えるな。



 爆心地、ということばがあることを知ったのはいつだったか。千羽鶴というのがあるのを知ったのはいつだったか。白血病ということばを知ったのはいつだったか。浴衣を着てベッドに寝ている女の子の映画を、学校の体育館で観た。原爆のせいで血が止まらなくなって、入院している子の映画だった。その子は10歳くらいに見えた。自分より年上だと思ったのだから、映画を観たのは小学校も低学年だったのだろう。白黒の映画だった。