Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2014/09/02

クッツェーの書いたシナリオが出版された

クッツェーの2つの小説作品 ──「In the Heart of Country」と「Waiting for the Barbarians」── が作家自身の手によってシナリオに書き直されていた。それがケープタウン大学出版から本になって出版される。ウェスタンケープ大学のヘルマン・ヴィッテンベルグ(ハーマン・ウィッテンバーグ)の解説つき。そう報じる記事が出た

「In the Heart of Country」をもとにマリオン・ヘンセル監督が「Dust」(日本では「熱砂の情事」?????というタイトルでビデオで売られている)という映画を作成したのが1985年。この映画の出来映えには、クッツェー自身いたく不満だった。無理もない、自分のシナリオが使われなかったのだから。

 その不満は『ダブリング・ザ・ポイント』で作家自身が語っていたし、カンネメイヤーの伝記にも詳述されている。ジェーン・バーキン主演、スペインでロケされたこの映画、光が南アフリカの苛烈な光とはまるで異なる、と件の記事の著者は語っている。そうだろうなあ。それは容易に想像できそうだ。

 「Waiting for the Barbarians」のシナリオは、フィリップ・グラスによって舞台化されたときのものだろう。これは2005年にドイツのエルフルトで初演され、2012年には南アフリカのバクスター・シアターでも演じられた。