Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2013/12/26

サミュエル・ベケットが『ワット』から朗読!

かのサミュエル・ベケットが『ワット』から詩を読んでいる! なんと! 
最後の方の、Addenda に出てくる詩を読んでいるのだ。録音は1965年、映像は1963年の Waiting for Beckett からのものらしい。ということは、声はベケットが59歳のときのもの、映像は57歳以前ということになる。詳細は、Open Culture で。





 クッツェーがロンドン時代、行きつけの書店のウィンドウでふと目にとまり、小型の分厚い『ワット』を買い込み、アパートで読みふけるあの『ワット』だ(『青年時代』に出てくる)。この作品との出会いから、クッツェーはコンピュータ・プログラミングの仕事を辞めて、ふたたび文学研究者への道をたどることになるのだ。

 でも、最近は「ベケットについて僕はなんら新しいことが言え」ないし「ひょっとしたら僕はベケットとは無関係なのかもしれない」なんて言っている。とはいえ、そのあとすぐに「もちろんベケットがこの世に生まれていなければ、僕はいまのような作家になっていなかっただろうが」とも。そして・・・

 この辺の微妙な感じは面白い──上の発言は、来年春に出版予定の、ポール・オースターとの往復書簡集『Here and Now』(岩波書店)に出てくるものだ。