Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2012/08/20

ゾーイ・ウィカムとトランスローカル

9月13日と14日にイギリスのヨーク大学で、Zoë Wicomb and Translocal:Scotland and South Africa という面白そうな催しが開かれる。基調講演はドロシー・ドライヴァー(アデレード大学)。主催者に、デレク・アトリッジ、デイヴィッド・アトウェル(いずれもヨーク大学)、カイ・イーストン(SOAS)、メグ・サミュエルスン(ステレンボッシュ大学)の名がならんでいる。朗読会に出る面々が、エレケ・ブーマー、ブライアン・チクワヴァ、J. M. クッツェー、パトリック・フラナリーなどなど。

 あらまあ、5月にアトリッジ氏がいっていたのはこの会のことか、と思いながら、ウィカムの長編『デイヴィッドの物語』のゲラ読みで忙しいわたしは、行きたいなあ、と思うだけで、とてもヨークまで飛んで行く余裕はない。
 先日もウィカムさんとのメールのやりとりで、「なんで来ないの?」といわんばかりの(笑)メールをもらったけれど、まあ、やっぱりイングランドは、ちょっとサッポロへ行ってくるといった距離じゃないわねえ、と遠くからながめやる。

 この会は、いってみればゾーイ・ウィカムをめぐって、南アフリカ/南部アフリカのエクスパトリオット文学者たちが多く集って旧交を温める会のようにも見える。そのタイトルも「スコットランドとトランスローカル」だ。
 この「トランスローカル」というのが面白い。中心となる(なってきた)文化的な大都市、都会からちょっとはずれた、かなりはずれた都市で生きている人たち──ウィカムさんが1994年から住んでいるスコットランドのグラスゴーというのも英国のなかではローカルな場所だし、ドライヴァーさんが住んでいるオーストラリアのアデレードもまちがいなく地方都市だよねえ──のあいだで、はて、どんな話が展開されるのだろう?