Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2011/10/10

マイケル・K は詩人だった!

10月10日、つまり今日発表された複数の情報によると、155箱にのぼるクッツェーの手書き原稿、手紙、エッセイ、スピーチ原稿、ノート類などが150万ドルで、オースティンのテキサス大学にあるハリー・ランサム・センターに買い取られ、保管されることになった。

 このセンターのコレクションにはすでに、サミュエル・ベケット、T.S.エリオット、ヘミングウェイ、バーナード・ショー、アイザック・シンガー、スタインベック、W.B.イェーツ、ドリス・レッシングといった、そうそうたるノーベル文学賞受賞者のペーパー類がアーカイブになっている。

 クッツェーのペーパーのなかには、9種類にのぼる『マイケル・KLife and Times of Michael K』の草稿があり、そのうちのひとつでは、なんと、マイケルは才能豊かな詩人だったそうだ。別のバージョンでは教育を受けた発送係だったり。
 アンナという女性も最終バージョンでは母親だが、草稿によっては母親だったり、妻だったり、祖母だったりと役割が変わっていて、マイケルとアンナが息子と母親の関係に落ち着いたのは第6稿だったという。

 現在71歳のクッツェー自身は、ほぼ半世紀にもさかのぼるテキサス大学との縁から(クッツェーはこの大学でサミュエル・ベケットの研究で博士号を取得)、自分のペーパー類がランサム・センターにホームを見つけて満足している、と語っているとか。

 ふう〜む。これから J・M・クッツェーを研究する人は、オースティンのハリー・ランサム・センターへどうぞ、ということのようだ。

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上の写真は2010年にテキサス大学オースティン校を訪ねたクッツェー:マーシャ・ミラー撮影