Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2011/01/06

『サラ・バートマンとホッテントット・ヴィーナス』──(1)

文末に「付記」を加えました。
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いま読んでいる本です。ひとりで読むにはもったいないので、ここで紹介します。ゾーイ・ウィカムがこんなふうに絶賛する本です!(サラ・バートマンについては、以前のブログを参照してください。)

Sara Baartman and the Hottentot Venus : A Ghost Story and a Biography, by Crais & Scully : Princeton,2009

「サラ・バートマンの神話化された生について、典拠の確かな、信頼できる書物がついに出た。細部にいたるまで正確に調査されたテーマが、クレイスとスカリーという二人の歴史学者の手によって具体化されたのだ。彼らは歴史的バイオグラフィーを書くことにつきものの落とし穴を巧みに回避し、細心の注意を払って、サラ・バートマンという一人の女性とイコンとなったホッテントット・ヴィーナスとを峻別して記述する。さらに、優雅な文体で書かれ、情熱と共感を込めながら注意深く状況を追跡した研究のなかには、彼らが発見した事実がひるむことなく提示されている。すばらしい・・・過去と未来にわたる南アフリカ文化へのずば抜けた貢献である」──ゾーイ・ウィカム

 昨秋、フランスで「VENUS NOIRE/黒いヴィーナス」という映画が公開されたことをネット情報で知りました。チュニジア出身の男性監督が撮った映画だそうですが、サラ・バートマンと当時のフランス人がどんなふうに描かれているのか、とても気になります。3月にはDVDになるそうですから、それを待ちましょう。

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付記:1770年代に南アフリカで生まれたサラ・バートマンという女性と、彼女をもとにしてヨーロッパ近代がどのようなイメージを作り上げたか、その結果どんな価値観が成立していったか、そのプロセスを知る手がかりとして、吉見俊哉著『博覧会の政治学/まなざしの近代』はとても役立つ、というか必読書に近いかもしれません。