Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2010/05/02

Eneida Marta/エネイダ・マルタの魅力

このところ仕事のあいまによく聴くのは、Eneida Marta/エネイダ・マルタの「Lôpe Kai/ロペ・カイ」。ギニア・ビサウ出身のシンガーで、アルバムは2006年発売。2007年に日本版も出ている。

 ギニア・ビサウはアフリカ大陸のいちばん大西洋側に位置する小国。独立は1974年と比較的新しい。独立運動のさなかに暗殺された、詩人で革命家のアミルカル・カブラルを生んだ国だ。新大陸アメリカスに向かって少し行ったところに、セザリア・エヴォラのカボヴェルデ(緑の岬)があって、いずれも、アンゴラ、モザンビーク、サントメプリンシペとならぶ、ポルトガル語圏の国だ。

 音楽もまた文学のように、旧宗主国との繋がりに、よくもわるくも強く影響されるもの。このアルバム、ファドで名高いポルトガル音楽のトーンが、軽快にアレンジされた曲の背後に哀愁にみちた調子で流れている。
 コンチャ・ブイカのような、乾いた錆声がきつくなったら、たっぷりとサウダージが染みた、ポルトガル風クレオール語で歌うエネイダの声が心地よい。

 お薦めは11曲目の「N'sunha/J'ai rêver」、いちばん甘い歌声は4曲目の「Mindjer Dôce Mel」、清岡智比古さんのブログで知った「Acoustic Africa」にも入っている曲だ。意味は「Femme douce comme le miel」、ふふ、日本語にはしないでおこうかな。

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5月の「水牛」に「ルサカの闇」が載りました。
コヨーテ人管啓次郎さんの「犬狼詩集 5, 6」も。