Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2010/03/04

『マイケル・K』ふたたび

「このすばらしき、どうしようもない世界」

そう銘うったパネルをつけて『マイケル・K』をならべ、どんどん売ってくださっている本屋さんがあります。丸善日本橋店です。

「どうしようもない世界」というところに、そうなんだよなあ、と深くうなずいてしまいます。そしてさらに、パネルのもうひとつのことばに思いいたります。

 J・M・クッツェーが1983年にブッカー賞を受賞した作品です。クッツェー作品の本邦初訳作品として出た1989年から2006年の文庫化まで、17年もあいてしまいましたが、とにもかくにも版元や多くの方々のおかげで文庫化できたことに、あらためて感謝します。そしていま、新しい読者との出会いをつくってくださる本屋さんがいる。とっても嬉しいことです。深謝!

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付記:文庫の解説を書いている2006年初夏には、まだ、ニューヨークタイムズやガーディアンの誤情報(クッツェーがミドルネームをマイケルからマクスウェルに変えた)を誤った情報とは知らず、そのまま使っています。本を買ってくださった方、すみません。このことについては「クッツェーの微笑み、あるいはテキストの落とし穴(4)」に書きましたので、ぜひ読んでください。重版がなって、早く訂正できるといいのですが・・・。