Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2010/01/19

嗚呼、ハイチ!!

1月12日(日本時間では13日)に起きた、ハイチの大地震は、その後、確認された死者の数も増えつづけ、救援がなかなか進まないというニュースが、たびたび流れています。

最貧国、最貧国、とメディアはくり返し流します。たしかにハイチは貧しいかもしれない。でも、それは1804年に黒人国家として世界で初めて独立した、そのつけ(フランス人が奴隷を所有できなくなった賠償金)を宗主国フランスに長いあいだ(100年間だそうです!)、払いつづけてきた結果でもあることは忘れられがちです。

 近年にいたっては、6年前に独立200周年を祝った直後、ブッシュ政権のアメリカが、旧宗主国フランスと手を組んで仕掛けた(といっていい)クーデタによって、ハイチ国民によって民主的選挙で選ばれたアリスティド大統領が、中央アフリカへ拉致されるように連れ去られたことの詳細は、あまり知られていないかもしれません。(アリスティド大統領は、先の賠償金をフランスに返還要求しようとした。)

 2007年の情報ですが、大手メディアには流れなかった情報があります。2004年のクーデターの詳細と、その後の現地情勢を調査したランダル・ロビンソンが、そのときの詳細をレポートしています。これはいまから見ても、一読、一見にあたいします。

 また自分の訳した本を、この機に乗じて宣伝するのも、ちょっと気がひけるのですが、ハイチ出身の作家、エドウィージ・ダンティカが書いた『アフター・ザ・ダンス』は、この国のおおまかな歴史や文化といった背景を知るには、とても役に立つ本です。

地震から1週間がたとうとしています。日本にいて、パソコンに向かっているだけの私には、ほかになにか役立つこともできそうもないので、はやり、非力ながらささやかな情報発信だけはしたいと思い、紹介させていただきます。