Elizabeth Costello : I believe in what does not bother to believe in me.──J. M. Coetzee

2008/03/21

アディーチェ『アメリカにいる、きみ』が重版!

 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの短編集『アメリカにいる、きみ』が重版になりました。嬉しい! その帯のことばを紹介させていただきます。
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池澤夏樹氏
 世界の状況と個人の運命が縦糸と横糸となって、見事な織物が生まれる。その好例がまた一人登場した。
 (週刊文春2007年11月15日号)

角田光代氏
 ここに描かれているのは悲劇ではない。ひとつの「体験」である。私たちは、痛みやかなしみといったあまりにも個人的体験を人と共有することはできないが、人はこのようにして触れ合うことができる。
 (サンデー毎日2007年12月2日号)

桜庭一樹氏
 複雑な構成が、びっくりするほどさらさらさらりと、それでいてウィットに富んだ筆致で描かれる。とても頭のいい作家だ、と感じた。
 (週刊現代2007年11月24日号)

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 今日、ある方からいただいた手紙に、このアディーチェ短編集の感想が書かれていました。
 この短編集の魅力がとてもよく伝わるもので、少し紹介させていただきます。

 「どの作品も中身がみっちり詰まっている。──アディーチェはしっかり自分の生活を生きている人、日々の生活を、観念ではなく、身体で生きていて、そこで感じていることを言葉で表現できる人だ。その感覚がとってもいい。どの物語も、過酷な現実に否応なくひきずりこまれた人びとの話。にもかかわらず人びとのうしろにひろがる世界は見える。──あたり前の人の暮らしの大切さがこの人の基調にある──それが全篇に通奏低音としてある、よさ。──最後があの作品(「ママ・ウクウの神さま」)であることに、とても暖かい希望さえ感じる。」
    
 アディーチェという若い作家が、すぐれたメディア戦略をもちながら、身体と感覚をおろそかにせずに、日々の暮らしを丁寧に生きている人だということは、訳していて感じました。それを読み取ってくださった手紙だと思いました。
 長編『半分のぼった黄色い太陽』の翻訳もやります。乞う、ご期待!!